漆器の基礎知識

漆器は、その製造工程、素材(木地)、塗料(漆)などによって価値が変わっていきます。細かな製造工程や、素材などは、その漆器が作られる地域によっても様々です。ここでは、漆器というものをより楽しんでいただけるよう、漆器の基礎知識をご紹介します。


製造工程

最も身近な汁椀を例に、大まかな工程をご紹介します。


1.原木から大雑把な形にくりぬく

2.轆轤(ろくろ)を挽いてお椀の形に整える

3.表面を整えてから漆を塗る

4.乾燥

5.完成


文章にすると簡単にまとまってしまいますが、各々の工程にさらに幾重にも手間がかけられています。例えば、下地の工程では、下地として布を貼ったり、塗りの工程では漆を何度も何度も重ね塗りしたりなど、その工程ごとの職人が丁寧に仕上げます。

さらには、形の出来上がったものに対して絵付けを施し、美しい装飾を施す工程などもあります。


このように、技術に裏付けられた手間がどれだけかけられているかで、その器の完成度が決まります。そして、その完成度(工程数)は価格にも反映されていくのです。


素材(木地)

漆器の素材は木地(きじ)と呼ばれ、読んで字の如くこの素材には古くから「木」が用いられてきました。現在は技術革新による多様化により、「木製」「木質」「合成樹脂」と大きく分類されます。


木製・・・・・・木をくり貫いた、もしくは合板によるものをいいます。

木質・・・・・・合成樹脂に木粉を混ぜたもので、合成樹脂よりも強度と木の質感があります。

合成樹脂・・・・・・ABSなどのプラスチックになります。


「木」の割合が多くなるにつれて価格は上がりますが、 この木の種類も様々で、中でも欅(けやき)は弾力がある為、強度的に優れています。


さらに表面の木目の向きにも価値の違いが生じます。汁椀などを横から見た時に、木目の向きが横向き(横木採り)か縦向き(縦木採り)かで、製作段階での採取効率や実用強度が違ってきます。因みに縦木は横木に比べ反り難く木目も綺麗に出やすいですが、採取効率が悪い為、価格も高めになります。


塗料(漆)

天然塗料の他にも技術革新に伴い様々な科学塗料を取り入れつつ、安価で身近な製品が発達してきました。現在ではそうした科学塗料で仕上げたものも含めて、『漆器』と総称しております。


塗料が「天然」か、あるいは「科学塗料」なのか、尚且つ刷毛(はけ)を使った「手塗り」なのか、スプレーを使用した「吹き付け」なのかにより、その価値に違いが生じます。

ちなみに、「国産天然漆」による「手塗り」が、最も手間がかかっており、その点で価値があり、価格も上がります。


「漆」は主成分であるウルシオールが多い程良い漆とされます。日本産は含有量が最も多いうえに、高品質です。国内生産は全体の2%程で90%以上を中国産(価格は1/8程度)が使われていますので、最終工程の上塗りが日本産であっても、下地・中塗りには中国産を使うことが多いようです。